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お題詳細

TSUYURITSUYURI2025-09-06 12:25

明日は我が身と、知りもせず

題名『明日は我が身と、知りもせず』 ※アレンジ・アドリブ大歓迎です。 以下、本文。 ――  『百舌(もず)の速贄(はやにえ)』というのをご存じだろうか。    ネズミなどの小動物を、杜松(ねず)という鋭いトゲのある樹の枝や、  有刺鉄線などに突き刺し、殺してしまうのだ。    ネズミたちがいくら嫌がろうとも、どれほど許しを乞おうとも、  モズは、ネズミたちを捕まえて、杜松(ねず)の樹へと刺してしまう。    ネズミは何も悪くない。  ネズミはなんにも悪くない。  モズには何も悪いことをしていない。    壁や柱をかじったり、人間が蓄えたお米を食べてしまっても、 米櫃(こめびつ)の中に糞(ふん)をしてしまっても、  それはネズミだから、そういう風に生まれついてしまったのだから、仕様がない。    生きるために、ほんのちょっと、他人様(ひとさま)のお宅を齧(かじ)っただけ。  生きるために、ほんのちょっと、他人様の食べ物を頂いただけ。  生きるために、ほんのちょっと、他人様の家の納屋(なや)で子供を産んだだけ。    それでもモズは、ネズミたちを捕まえて、杜松(ねず)の樹へと刺してしまう。  刺して、啄(ついば)んで、殺してしまう。    他のネズミはそれを見て、おそれ、おののき、震えている。  ネズミは何も悪くない。  ネズミはなんにも悪くない。  モズには何も悪いことをしていない。    一羽のモズが、ネズミたちのその様子を見て嗤(わら)っていた。  おかしくて、おかしくて、堪らなくなり、他のモズにその話をした。    翌日、そのモズは杜松(ねず)の樹に刺さっていた。    仲間だと思っていたモズに銜(くわえ)えられ、  杜松(ねず)の樹へと刺されるその瞬間(とき)、モズはようやく気が付いた。   「ああ……、自分もネズミだったのだ……」  他の多くのモズはそれを見て、ああなるまいと思ったが、  それを見ても、何も感じない、無関心なモズもいた。  他人事(ひとごと)のように、嘲笑(せせらわら)っているモズもいた。    明日(あす)は我が身と、知りもせず……。 ――― 本文は以上です。ご覧頂き、誠に有難う御座いました。 🐥作者の独り言✒ 元ネタは、SNSや何やらの炎上だったりします。

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#朗読#シリアス#日常#男女兼用

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