愛しき貴方様へ 本日、お手紙を拝読いたしました 「では、行ってきます」 そのお言葉を見た途端 涙が止まらなくなりました 私は今も 貴方様がお戻りになるものと 信じたい気持ちでおります けれど、お手紙を何度も読み返すうちに それが叶わぬ願いであることを知りました 戦が済みましたなら 桜を見に行こうと仰ってくださいましたね あの日のお約束を 私は一日たりとも忘れたことはございません 貴方様は私に、笑って生きてほしいとお書きになりました そのお心は、よく分かっております けれど、今はまだ笑うことができそうにございません どうか、お許しください いつの日か、涙も尽きましたなら 貴方様のお望みどおり前を向いて歩いて参ります 春になれば、必ず桜を見上げます その折には、空の彼方よりご覧になっていてくださいませ 貴方様と出会えましたこと 貴方様をお慕い申し上げましたこと それが私の一生の宝でございます このお返事は もう貴方様のお手元へ届くことはございません それでも、どうしても書かずにはいられませんでした どうか安らかに そして、いつの日かまた お逢いできます日を信じております さようならではございません 行ってらっしゃいませ
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