蜂乃巣ゆん蜂乃巣ゆん2026-07-22 15:42

探偵の推理 side Detective

……そんなに身構えないでください。 私はただ、あなたのお話を整理しているだけですから。 ええ。 確かに、あなたの証言に矛盾はありません。 時間も。 行動も。 説明も。 どれも筋は通っています。 ですが……。 それは、彼が今日亡くなっていたなら。 その前提でしか成立しない話なんですよ。 ……え? どういう意味か、ですか? 簡単なことです。 あなたは、彼のことを誰より知っていた。 だからこそ。 一つだけ、見落としてしまった。 彼には毎晩の習慣がありましたよね。 眠る前に、自分で珈琲を淹れる。 どんなに忙しくても。 どんなに疲れていても。 「この一杯だけは欠かせない。」 そう笑っていたそうですね。 豆を挽く音。 お湯の沸く音。 部屋に広がる香り。 それが、彼の日常だった。 ですが。 昨日の夜だけは違った。 ミルは使われていない。 ケトルも冷たいまま。 マグカップは棚にしまわれたまま。 ……珈琲を淹れた形跡が、一切ないんです。 おかしいと思いませんでしたか? 毎日欠かさない人が。 昨日に限って、それをしなかった。 体調が悪かった? いいえ。 夕方には、新しい珈琲豆を買っています。 「今夜飲むのが楽しみだ。」 そう店員さんに話していたそうですよ。 つまり。 彼は飲むつもりだった。 でも、飲めなかった。 ……ここまで言えば、もう分かりますよね。 あなたは昨日の夜の彼を見ていない。 見ていたなら。 珈琲を淹れていないことに、真っ先に気付くはずですから。 あなたが語ったのは。 昨日の出来事ではなく。 "いつもの彼"でした。 いつもの生活を並べて。 昨日もそうだったと、思い込ませようとした。 惜しかったですね。 本当に、あと一歩でした。 大きな嘘は、とても丁寧に作れる。 でも。 日常だけは、ごまかせない。 その一杯の珈琲が。 あなたの嘘を、静かに教えてくれました。 ……さて。 これでも、まだ。 「何も知らない」と、おっしゃいますか?

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#シチュエーションボイス#ゆんの台本

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