雨夜(あまよ)の月:想像するだけで目には見えないもののたとえ。 なんちゃって古語台詞です。 恋しいお方の『お渡り』がない女の悲しみを、それっぽく書いてみました。 なお、女声向けとして書きましたが、どうにかすれば男声の方も読めると思いますので、どうぞご随意に。 ※アレンジ・アドリブ大歓迎です。 以下、本文。 ―― 夜半(よわ)の雨は、いつぞや【二人称】に隠した、【一人称】の涙。 伝えきれぬ恋心は、心の淵(ふち)より溢(あふ)れ出(い)で、涙となりて頬を濡らす。 鋭利(えいり)な刃物で切り裂かれるより、遥(はる)かに痛む胸。 重たく、ずきりとした痛みが、波紋(はもん)のように、胸から全身へと広がってゆく。 何故(なにゆえ)か知らず、沸(わ)き立つ焦燥(しょうそう)が、じりり……じりり……と肌を焼く。 「此(こ)の苦しみさへ(え)、恋と……、此(こ)の痛みさへ(え)、愛と……、そう申されまするか……。 惨(むご)い……、あまりにも惨(むご)い仕打(しう)ちではありませぬか……!」 ひとの哀しみに目もくれず、雨はしとしとと、静寂(しじま)を揺(ゆ)らす。 またひとつ、雫(しずく)が落ちる。 天よりひとつ……、眼(まなこ)よりひとつ……。 今宵(こよい)もまた、ひそりと……、一人寝(ひとりね)の、枕(まくら)を濡(ぬ)らす……。 ―― 本文は以上です。ご覧頂き、誠に有難う御座いました。
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