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TSUYURITSUYURI2025-10-12 05:38

鉢植えに記す証

題名『鉢植えに記す証』 以前、某サイトに載せていた作品です。 少しでもお気に召して頂けたら幸いに存じます。 ※アレンジ・アドリブ大歓迎です。 以下、本文。 🪴*.。.:*・゚.◌  もう少しで、【一人称】という存在は、  この世から永遠に消えて無くなってしまう。  だから【二人称】に、  鉢植(はちう)えを遺(のこ)そう。    【一人称】が、この世に、確かに居たことを証明する為に、  【二人称】に、鉢植えを遺そう。  【二人称】が、独(ひと)りで泣かなくて済むように、  【二人称】に、鉢植えを遺そう。    鉢には、何を植えようか。  木はダメだ。  木は、何百年と生きるが、あとあと問題が生じる。  花がいい。    では、何の花にしようか。  鉢の、色や形はどうしようか。   花は、青い色が美しい、勿忘草(わすれなぐさ)にしよう。  鉢は、シンプルな無地の、茶色い陶器製にしよう。    園芸用のラベルも買って、【一人称】の名前と、  植えた年月日を書いて、鉢に刺しておこう。  勿忘草(わすれなぐさ)の花言葉は、『私を忘れないで』だそうだ。  祈るようなその言葉は、少し、呪いに似ている気がした。  芽が出て、花が咲いて、枯れて、種が落ちて、また芽吹く。  〔繰り返される/巡(めぐ)り巡(めぐ)る〕、花のサイクルの中に、在りし日の【一人称】の姿を思い出してくれたなら、  それだけで……、ただただ、それだけで、  間違いなく【一人称】は、幸せだから……。        『鉢植(はちう)えに記(しる)す証(あかし)』      【二人称】が【一人称】を忘れる日が、いつかきっと来ることでしょう。  それは【二人称】に、【一人称】よりも大切な、何かが出来たという証。  本音を言えば、寂(さび)しいけれど、  【二人称】にその日が来ることを、心から願っています。 🪴*.。.:*・゚.◌ 本文は以上です。ご覧頂き、誠に有難う御座いました。皆様からのご投稿及びご感想を、心よりお待ち申し上げております。

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#朗読#ポエム#男女兼用##随想

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