知っているはずだった。 この世界の結末も、悲しみもすべて。 かつて画面越しに見ていた物語に 僕は“登場人物”として立っている。 選択肢はない。 いや、正確には選び直せない。 あの戦いで彼は死に、 あの言葉で彼女は壊れる。 すべて知っている未来だ。 なのに、どうして こんなにも見過ごせないんだろう。 ゲームだった頃は 「仕方ない」で進めた。 でも今は違う。 目の前で笑って、泣いて、 触れればちゃんと温かい。 それでも結末は変わらないのか。 もし変えられないなら、せめて。 ほんの少しでも 彼らの苦しみを軽くしたい。 結末が同じでも、 そこへ至る道が 少し優しいものであるように。 これはきっと “物語を知る者”にしかできない ささやかな抵抗だ。 報われなくてもいい。 それでも僕は この世界で生きると決めたんだ。
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