登場人物:ぼく(先輩) 形式:一人語り/朗読用台本 好きな声優アーティストさまの 曲名をタイトルとして 違うシチュエーションで 作成しました。 --------------------------------------- ぼくが彼に最後に渡したのは たったひとつの飴玉だった。 花火大会の帰り道 人混みを避けて 河原の土手に座った。 彼はどこか寂しそうに笑って 「来年も、一緒に見れるかな」 なんて言った。 その時 言えなかったんだ。 「好きだよ」って。 それを言ったら 今の関係が壊れそうで。 先輩と後輩 それだけの距離が やけに心地よくて怖かった。 ポケットに入っていた飴玉を そっと彼の手に握らせた。 「また来年も一緒に見よう」って それだけ。 彼はちょっと驚いた顔をして笑った。 でも次の夏 彼はもう隣にはいなかった。 遠くから聴こえる花火の音。 甘くて 少しだけ苦いあの飴玉の味が 今も舌の奥に残っている。 --------------------------------------------------- ※参考:後輩くん目線 「最後の花火 ―another―」 https://coemee.com/topics/_Gj-xo-maBGzz34SySHo4 --------------------------------------------------
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