朗読台本「僕の相方」

﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌ どうして靴下は 左右お揃いじゃなきゃ いけないんだろう。 もっと自由でいいのに。 だって 色も柄も違う靴下が 並んで歩いたって 誰も困らない。 むしろ 僕にはその方が ずっと楽しく見える。 朝の光の中で 片方だけ迷子みたいに 残った靴下を見つけると その子だって 新しい誰かと出会えば また歩き出せるのにと思う。 同じ種類じゃないと ダメだなんて 小さなルールに縛られる 必要はない。 僕たちだってそうだ。 時と場合によって 寄り添う相手が 変わることもある。 昨日は合わなかったのに 今日はぴったり 重なることだってある。 昨日はあの子と話したけど 今日はこの人と話したいとか。 似ていなくても 同じ形をしていなくても 隣で歩けるならそれで十分だ。 僕は そんな世界が好きだ。 誰かの片方になれる自由。 僕らも色とりどりのまま 個性を尊重し合いながら 仲良くなれたらいい。 僕たち自身が それぞれの違いに 刺激される場所で 柔軟な心を 持つことができたら。 きっともっと楽しく もっと軽やかに 同じ道を歩ける気がするから。 だけどね。 この場所は 君と一緒じゃなきゃ駄目なんだって 他の誰かじゃ駄目なんだって そんな お揃いとは言えなくても それぞれに大切な 特別の相方もいることは 忘れないでね。 ﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌