城生 悠正城生 悠正2026-08-29 10:50

声劇台本『よすが~過~弐』

声劇台本『よすが~過~壱』 (https://coemee.com/topics/iwya-wZpi1BSb5NRKlT20) の続き ----------------------------------------- 天狐:次に愛。 愛:はい。 0:(愛、天狐に近づく。愛の頭に手をかざす天狐。) 天狐:愛。そちの*眼《まなこ》は実に見通しがよくできておる。とても*聡明《そうめい》な子じゃ。 天狐:じゃが。その*眼《まなこ》は現在と未来にしか向いておらぬな? 愛:(苦笑)えと、過去に必要性を*見出《みいだ》せなくて…。 天狐:土地や人の過去を見る目を*養《やしな》ってみるとよい。 天狐:そちなら直ぐに、そのものの本質を*捉《とら》えられるようになるじゃろう。 0:(SE光に包まれる。) 愛:うん、すっきりするねこれ! 愛:(深呼吸)…コータ、絵美。私、二人の事とーっても傷つけた。 愛:コータの家庭の事情を全く知らなかった…。ってわけじゃないのに目を*背《そむ》けてたし、踏み込めなかっ…ううん、踏み込まなかった。 愛:それなのに『言ってくれなかった』って責任をコータに押し付けるような言い方しちゃって…。 浩太郎:愛…。そんなに自分を責めんなっての。 浩太郎:気持ちのいい話でもないからそれはしょうがないって…。 愛:ううん、それでもだよ…。 愛:それに、この土地の成り立ちなんて*一切《いっさい》興味も持たなかったしむしろどうでもいいって思ってた。 愛:そのせいで絵美の*事《こと》も悲しませちゃった…。 絵美:愛、そんな…。 浩太郎:それは、俺もだよ…。 浩太郎:おめーらに*話《はな》しても*無駄《むだ》。資格がない。とまで言っちまったけど…。 浩太郎:これからは少しずつかもしんねえけど、話す…いや、話させて欲しい。 武平太:コータ…。 浩太郎:…聞いてくれる、よな? 愛:コータ…。 愛:うん!当り前じゃない! 武平太:良くも悪くも、腐れ縁だしな。 絵美:実際、結界とまやかしによって、歴史すら*改《かい》ざんされてたから、誰も知る*由《よし》はなかったんだけど…。 絵美:こうやって興味を持ってくれるのは、嬉しいな。 天狐:そうじゃな…。誰もが*辿《たど》り着ける真実では無いが、知るべき者が知った。 天狐:その事実がここにあると言うことが大事なのじゃよ。 絵美:うん、そうだね。 絵美:他の人が知らなかったとしても、みんなが、愛達が真実を知ってくれてたら、それで私十分だよ? 愛:絵美…。ありがとね。 愛:私、勉強する!この土地以外の事にも興味を持って、さ。 天狐:ふむ。良きことぞ。 愛:あー、あと、武平太?やっぱ私コータが好きだから、そこんとこヨロシクね? 愛:更に*俯瞰《ふかん》して見てみたら、「やっぱり愛情だったー。」とかは無しね? 武平太:なっ!お前、人の事*散々《さんざん》殴り*散《ち》らかしておいてそういう言い方! 武平太:『二人のこと傷つけた』って言うんだったら俺は過去、お前からどれだけ物理的に傷付けられてきたか! 愛:過去は見えませーん。いーや、見ませーん! 絵美:(笑いながら)愛、もう*妖術《ようじゅつ》*解《と》けちゃったの? 浩太郎:ったく、どこまでも愛は愛だな。 武平太:(ため息)…やっぱりいつまで経っても、勝てねぇわ。 天狐:(咳払い)…よいかの? 愛:あ、ゴメン天狐さん…。続けて下さい。 天狐:ふむ。では…。 天狐:(咳払い)*「武」《ぶ》を*継《つ》ぐ者、武平太よ。 武平太:はい。…あっつ(痛がる)! 天狐:あー、よい、無理に動くな。そのまま聞いておれ。 武平太:すみません。 天狐:そちの事を一言で表せば、「*調和《ちょうわ》」。先祖より代々*「武」《ぶ》を*継《つ》ぎながら*均衡《きんこう》を*保《たも》ってきた。 天狐:*我《われ》とこの町に住まう者たちの架け橋となり、時にはその高い*霊力《れいりょく》により*我《われ》の代わりとなり*不届《ふとど》き者をも*祓《はら》っておった。 武平太:ええ。先程天狐さんを*介《かい》して知りました。 天狐:*均衡《きんこう》を取る者という役回りもよいが、そちの心はそちの物じゃ。 天狐:そちは、自分の感情を殺してまで*均衡《きんこう》を取ろうとするクセがあるようじゃの? 武平太:ッ…それは。 天狐:時には自分の感情を*露《あら》わにして、心を解放してもよいのじゃぞ? 武平太:解放。…ですか。 天狐:そちは…浩太郎もじゃが、相手の心に*敏感《びんかん》すぎる。いや、*臆病《おくびょう》と言うべきか。 浩太郎:(ボソッと)武平太…。そうか、おめぇも…。 天狐:ふむ。少しではあるが心の*器《うつわ》を*鍛《きた》えてやろうかの。 天狐:じゃが、*修練《しゅうれん》も*怠《おこた》るではないぞ? 武平太:はい!ありがとうございます。 天狐:ハッハッハッ、やはり*「武」《ぶ》を*継《つ》ぐ一族はよい*面構《つらがま》えじゃ。 0:(天狐、武平太に近づく) 0:(SE光に包まれる。) 武平太:…ふうっ。 武平太:確かに俺は、みんなにいい顔をするための立ち回りを一番に考えてた。 武平太:時には自分の心を殺してまで相手に合わせて…。 絵美:へいたくん…。 武平太:…そう、だよな。自分の心に正直に生きないと、な。 愛:そだぞー。私にみたく思ったことバンバン*口《くち》に出したらいいんだよ! 絵美:愛はー…。 絵美:ちょっと出しすぎかもー? 愛:ちょ、絵美! 浩太郎:んだなー。 武平太:確かに! 全員:笑う(愛の苦笑いでも可) 天狐:絵美や。 絵美:なーに、おじいちゃん? 天狐:よいよすがを…持ったの。 絵美:うんっ! 絵美:おじいちゃんが*巡《めぐ》り合わせてくれたんだよ! 天狐:さて、結界も戻ったことじゃ。 天狐:*我《われ》はまた休ませてもらおうかのぅ。 浩太郎:天狐…いや、天狐さん。 天狐:ふむ?どうした*居直《いなお》って? 0:(浩太郎、全員の顔を見渡して) 全員:有難うございました!(浩太郎のみでも可) 天狐:(深呼吸)実によいよすがじゃ。 : 0:よすが~過~ 0:―完―

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