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朗読台本「ジレンマ」

﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌ ぼくの友人は 今日もクリニックのはしごをしている。 午前は育毛注射。 午後は脱毛レーザー。 髪が薄いことに悩んで 髭が濃いことを気にしているらしい。 人間の欲望って 案外ピンポイントだ。 ぼくたちはみんな少しずつ不器用に バランスを取っているのかもしれない。 鏡の前で彼はつぶやく。 「髭を髪に移せたらいいのにな」 たしかに。 そんなふうに移動できたら プラマイゼロなのに。 でも ぼくは知っている。 その矛盾の中に 生きてる人のかわいさがあることを。 気にしているのは ちゃんと自分を見ている証拠だ。 だから今日も ぼくは言う。 君の毛のジレンマ けっこういい感じだよ。 ﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌﹌

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#朗読#嘘つきライター#男声向け

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